『恋のドレスと約束の手紙』 [ライトノベル(少女)]
『恋のドレスと約束の手紙』 (コバルト文庫 あ 16-21 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
- 作者: 青木 祐子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/09/02
- メディア: 文庫
ヴィクトリアン・ローズ・テーラーの13冊め、だそうです。
短編集2冊を含むとはいえ、13冊もやっていると、大概ワンパターン化して飽きてきそうだけれど、そんなことはないヴィクトリアン・ローズ・テーラーです。まあ、話の骨格はワンパターンというか変わらないのだけれど、しっかりした骨組みを元に、豊かなエピソードや思いがけない展開を盛り込んで、きちんと楽しめる作品になっているのがこのシリーズのいいところ。
今回は、テーマは文通です。まあそういう時代、そういうオトシゴロとはいえ、文通ですよ。「星の瞳のシルエット」もかくやというじれったさですよ。でも、それがまた、いい雰囲気を作ってます。
そういう表の部分だけでなく、闇のドレスの問題もじんわりと進行しており、こちらも目が離せなせい状況。
なんとも読者を引きつけるシリーズです。
★★★★
『桃源の薬 白翼山綺談』 [ライトノベル(少女)]
「桃源の薬」の番外編というか短編集。「紫苑の乙女」「迷子の蛇と翡翠のなみだ」「天馬の憂うつ」「木漏れ日に目覚める恋」「水玉環秘話」の5編を収録。
野原で拾った美女を心配して連れ帰ると、女は露骨にインシェンを誘惑してその様を凛花に見せつけるような素振り。一体何がしたいのか。(紫苑の乙女)
ある日突然、凛花の部屋に現れた蛇の化身。実は、白翼山の館の前の主、白苑真君に縁の妖だというのだが。(迷子の蛇と翡翠のなみだ)
趣、雰囲気が本編とやや異なる短編も多く、シリーズに膨らみをもたらしている。
ところで、この本、本編完結後の短編集、と知り、あれ、完結してたっけ、と思っていたが、調べたら、本編最終巻を読んだ記録が無い。記録漏れか、もしかして本当に読んでないんだったりして・・・ (^_^;)
探して確認しよう。
★★★★
『恋のドレスと黄昏に見る夢』『窓の向こうは夏の色』 [ライトノベル(少女)]
『恋のドレスと黄昏に見る夢』 (コバルト文庫 あ 16-19 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
- 作者: 青木 祐子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/04/01
- メディア: 文庫
『窓の向こうは夏の色』 (コバルト文庫 あ 16-20 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
- 作者: 青木 祐子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/07/01
- メディア: 文庫
ヴィクトリアン・ローズ・テーラーのシリーズ11冊目~12冊目。積ん読しているうちに、たまっていたので、纏めて読みました。
11冊め、『恋のドレスと黄昏に見る夢』は、本編で、クリスとシャーロックはもちろん、アディル嬢、そして裏ではパメラとイアンの心も千々に交差する。そして・・・ これで一段落、という訳ではないでしょうね。
12冊め、『窓の向こうは夏の色』は短編集。『ドレッシング・ルームの高い窓』『希望という名の猫』『窓の向こうは夏の色』『幸福な淑女』の4作品を収録。前2作は雑誌「Cobalt」掲載作、後2作は書き下ろし。
それぞれに、本編とは趣の異なる書き方をしていて、作者の力量を感じます。
★★★★
『グランドマスター! 道連れは王子さま』 [ライトノベル(少女)]
『グランドマスター! 道連れは王子さま』 (コバルト文庫 き 5-36)
- 作者: 樹川 さとみ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 文庫
樹川さとみの馬鹿話的諸国漫遊記? まあなんというか、まったりと楽しむといい、どちらかというとのんびりしたシリーズ。旅の一行も人数が多く、ゲストも毎回出てくるので、シリーズを重ねないとキャラクターも書込めないでしょう。特徴づけははっきりしているけれど、それだけだと単なるイロモノキャラのオンパレードなので。
飽きられずにどこまで続けられるかが鍵か!?
★★★
『月色光珠 秘密の名前』 [ライトノベル(少女)]
『さみしいうさぎ』 [ライトノベル(少女)]
『さみしいうさぎ』 (ヴィレッジブックスedge (E-イ1-2))
- 作者: 飯田 雪子
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
飯田雪子の新作。
熱愛ではないけれど、暖かな気持ちで結ばれていた菜月と峻。しかし、峻が実家の喫茶店を継ぐために故郷に帰り、二人は遠距離恋愛の関係になった。そして、菜月が出会ったリュウセイという青年。女性を抱きしめるアルバイトをする彼と、菜月は次第に親しく話をするようにする。峻も、気負いなく話ができる友人は大事だと言ってくれた。
しかし、いくら電話で話しても、菜月には峻に会いたい気持ちがつのるばかりだった。
主人公も物静かな性格で、激しいドラマは無いけれど、登場人物の感情を丁寧に書いている。主人公の恋人の峻は、遠距離恋愛ということもあって出番が少なく、電話の声が多い。その感情の見え無さが、主人公が感じる心の距離や不安をうまく出している。
感動の名作、という作品ではないけれど、静かに萌える炎のような小説。
★★★★
『オークホールの白騎士』 [ライトノベル(少女)]
『花結びの娘』 [ライトノベル(少女)]
コバルト文庫で『月色光珠』のシリーズを書いている岡篠名桜の、シリーズ外の新作。
主人公の可也は、彼女にリボンを結んで貰うと願いが叶うとうわさされる女学生。級友たちの恋の願掛けに放課後ごとにつきあわされる。彼女は確かに「結び」に特殊な能力を持つ家系の生まれであったが、それも御維新で無用になったと思われていた・・・
上代、中世から続く特殊な家系、という設定はいろいろあるけれど、結ぶ、解く、断つ、とかくると、ちょっと嘘っぽさが・・・ まあ、それはそれでと目をつぶらないとお話しが成り立ちませんが。
また、時代設定と、登場人物の行動、ものの考え方がマッチしていないような気がして、どうも素直に読めません。読み手を選ぶ、かなあ。
★★★
『恋のドレスと秘密の鏡』 [ライトノベル(少女)]
『恋のドレスと秘密の鏡』 (コバルト文庫 あ 16-18 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
- 作者: 青木 祐子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/12/26
- メディア: 文庫
この作者はやっぱりうまい。
シリーズも8冊目かな、随分物語を重ねているが、ライトノベルらしい世界を壊さないまま、色々なバリエーションを展開していて、飽きさせない。
この巻では、以前登場してきた人物が再登場。新しい巻毎に新しい人物を登場させてキャラを増やすだけでなく、脇役の人物像も膨らませていくのもさすがというか。
今回も、闇のドレスを作る「夜想(ノア)」が出てきますが、今回作ったのは闇のドレスではなかった。クリスのドレスが実は恋のドレスではなく、着る人の心を惹き出すドレスであるのと同様、「夜想(ノア)」のドレスも別の側面の心を引き出すドレスであった。
こういう話は苦手な人もいるだろうけれど、そうでなければ意外な程楽しめるシリーズなので、オススメ。
★★★★
『僕はここにいる』 [ライトノベル(少女)]
『僕はここにいる』 (講談社X文庫 いI- 1 ホワイトハート)
- 作者: 飯田 雪子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12
- メディア: 文庫
飯田雪子の初期作品の再刊。
飯田雪子は、X文庫ティーンズハートに書いていた頃から好きな作家で、『眠る記憶』とか『瓶の中のおしゃべり娘』とかは持っているのだけれど、読み始めたのが遅かったのか、何冊かは買い逃していた。
今回再刊されたこれは実は読んでいなかった作品だったので、ラッキーだった。
祖父が無くなり、祖母と同居するために東京を離れ田舎の町に引っ越した涼香。
東京にあまり執着がなかった涼香は新しい町にすぐに馴染んでいったが、祖母は祖父を亡くした悲しみに沈み、母は住み慣れた東京を離れ、不便な田舎町に住むことに不満を募らせていた。
そんな折り、涼香は一人の少年に出会う。彼は同級生の目には見えず、悲しみや苦しみの色を反転させる仕事の見習いだというが・・・・・・
飯田雪子らしい、ファンタジー色のライトノベル。というか、時期的にはまだライトノベルという言葉が一般的になる前の作品か。
初期の作品だけに、のちの作品にあるような深いテイストとかはさほどないけれど、作者の個性が感じられる作品。単発で読むのではなく、この時期の作品を纏めて読むと、また違った感触があるかも。
最近出た、『夏空に、きみと見た夢』とか『クリア・ヴォイス』と読み比べるもありかな。
★★★